現在利用中の融資条件よりも有利な条件を見つけた場合、借り換えを検討する方も多いでしょう。
ただし、安易に借り換えを行うと、かえって資金繰りが悪化する可能性もあります。
そこで本記事では、事業資金の借り換えを行う目的や注意すべき点、そして各機関ごとに異なる借り換えの内容について解説します。
ぜひ最後までお読みください。
事業資金の借り換えはどのような場面で検討するべきか
借り換えとは、現在の融資先から他の金融機関、または同じ機関でも異なるプランに切り替えることを指します。
新たな金融機関や別のプランで資金調達を行い、その資金を既存の借入返済に充当する方法です。
現在の返済中の融資に対し、別の機関や新たなプランの条件が良い場合は、借り換えが資金繰り改善の手段となることもあります。
ただし、借り換えにはリスクも伴うため、慎重な検討が必要です。
以下で、借り換えの目的や注意点を詳しく解説します。
事業資金（融資）の借り換えを行う主な目的
事業資金の借り換えをする大きな理由の一つが、資金繰りの向上です。
金融機関を切り替えることで、利息を削減できる場合があります。
また、返済期間を長期化することで、手元資金を圧迫せずに返済が可能となり、資金繰りが改善されるケースもあります。
例えば、残り返済期間が短い場合、他の金融機関に借り換えを行い、返済期間を延ばすことで資金の圧迫を防ぐことができます。
さらに、資金繰りが良好な状況で借り換えを行えば、新たな資金を調達し、事業の成長に向けた投資に活用することも可能です。
事業資金（融資）の借り換えを検討する際の留意点
事業資金の借り換えを行う際には、以下の点に注意が求められます。
手数料の負担
借り換えを行う際には、現行の金融機関および新たな金融機関それぞれに手数料が必要となります。
手数料は融資額によって異なり、一般的には10万円前後かかる場合が多いです。
そのため、事前に借り換えに伴う手数料の詳細を確認し、月々の返済に負担がかからないよう考慮することが重要です。
信頼関係の変化に注意する
金融機関との良好な関係は、融資を受ける上で欠かせません。
長期的な取引が続くことで、信頼関係が深まり、将来的な融資においても有利になる場合があります。
借り換えにより取引先を変更する際は、その後の取引に支障が出るリスクも考慮し、慎重に判断しましょう。
金利と返済期間の見直し
借り換えの前に金利や返済期間をしっかりと見極めることが大切です。
返済期間を延ばすことで毎月の返済額は軽減されますが、総返済額が増える可能性があるため、資金繰りの状況に合わせた長期的な計画が求められます。
中長期での返済シミュレーションを行い、適切な選択をしましょう。
金融機関ごとの事業資金の借り換え内容
ここでは、借り換えに関する内容を金融機関別に説明します。
日本政策金融公庫での借り換え
日本政策金融公庫での借り入れには「公庫融資借換特例制度」が適用される場合があります。
この制度は、経済環境や取引関係の変化によって資金繰りが厳しい状況に陥った方に対して、返済期日を延ばすことで資金繰りの改善を図るものです。
ただし、他の金融機関での借り換えには利用できないため、あくまで日本政策金融公庫内での融資が対象です。
銀行における借り換え
銀行の借り換えには、「同一銀行内でのプラン変更」と「他の銀行への切り替え」の2種類があります。
返済期間が長期のプランを選べる場合、同一銀行内での借り換えを検討することも可能です。
また、複数の借入金を一本化することで返済負担を減らすことができる場合もあります。
他行での借り換えを検討する場合は、信頼関係への影響も考慮し、中長期の視点で判断しましょう。
信用保証協会の借換保証制度
信用保証協会の保証付き融資を利用している場合、借換保証制度を活用することで借入を一本化し、長期の返済計画で資金繰りの安定を図ることができます。
また、追加の資金が必要な場合も、借り換えと同時に新たな資金を調達することが可能です。
ビジネスローンやノンバンクの利用
短期で資金繰りを改善したい場合、ビジネスローンやノンバンクの利用も選択肢の一つです。
融資までの迅速さが魅力ですが、銀行に比べて金利が高い点には留意が必要です。
借り換えにより総返済額が増えるリスクもあるため、事前に返済計画を立てておくことが望ましいでしょう。
事業資金の借り換え審査ポイント
借り換えを行う際には、金融機関による審査が必要です。
財務状況
他の借入状況や収益とのバランス、決算書や資金繰り表の正確さが確認され、財務状況が審査の重要なポイントとなります。
収益に見合わない借り入れがある場合、返済が難しいと判断されることもあるため、財務健全性を整えておくことが大切です。
返済能力
過去の返済履歴や現状の返済状況も審査に影響を及ぼします。
過去に遅延があった場合、その理由に合理性があれば説明できるよう準備しておくと良いでしょう。
借り換え以外の資金繰り改善策
資金繰りを改善する方法として、借り換え以外にも以下の手段があります。
追加融資
現在の融資に加え、新たに追加融資を受けることも資金繰り改善に役立ちます。
日本政策金融公庫の場合
日本政策金融公庫での追加融資は、手元資金を増やし資金繰りを安定させたい場合に活用できます
。
ただし、返済期間中で追加融資が可能かどうかについては担当者に確認する必要があります。
銀行の場合
銀行での追加融資は、企業の収益状況や資金繰りに基づいて判断されます。
信用力を高めておくことで、追加融資を受けられる可能性が高まるでしょう。
繰り上げ返済
手元資金に余裕がある場合、繰り上げ返済も資金繰り改善の一手です。
利息の支払いを軽減することで、最終的な返済負担を抑えられます。
リスケジュール
返済計画を見直し、資金繰りの短期的な悪化を防ぐためのリスケジュールも一つの方法です。
ただし、新規の融資が難しくなる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。
まとめ
事業資金の借り換えは、金融機関の条件によって資金繰り改善のための手段となりますが、手数料や信頼関係の変化、総返済額の増加リスクなど多くの要素を考慮する必要があります。
資金繰りを安定させたい場合には、借り換えの利点とリスクを慎重に比較し、最適な手法を選ぶことが重要です。
資金繰りの改善には、ファクタリングなどの他の選択肢も検討してみましょう。
